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デイサービス改修で感じた「大切なこと」

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はぴりの!は個人住宅のリノベーションが多いのですが、もちろん飲食店や事務所などの改装も行っています。

今回は「デイサービス(通所介護施設)」を改装する仕事で感じた「リフォームやリノベーションで大切にしたいこと」についてご紹介します。

ご存知かと思いますが、デイサービスとは要介護状態にある高齢者が日中通う施設です。ほとんどの場合スタッフがクルマでご自宅までお迎えに行き、施設の中で一緒に身体を動かしたり食事をしたり、空いた時間にレクリエーションをして、お風呂に入って夕方に帰っていく…という感じです。

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高齢者と言っても、介護のレベル(要介護1〜5)によって健康状態もかなり異なります。しっかりとご自身でコミュニケーションをとられる方もおられれば、車椅子でしか動けない方、認知症が進んで徘徊行動のある方まで様々です。

 

改装をご依頼頂いたお客さまと一緒にいくつかの施設を見学させてもらって感じたのは「自分が将来入所するとしたら、ちょっとさみしいな」という思いでした。

確かにどの施設も行政が定めたルールに則った機能的な空間ですが、どうしても「病院の延長」のような施設で「心地よく過ごす」という雰囲気ではありません。デイサービスは介護保険を使った施設ではあるものの、せっかく日中の6時間を過ごす施設です。だからこそ入所者自身が「落ち着く空間」であり、そこに通うことで「本人の気持ちと健康が向上する」施設であって欲しいと思います。

そうなれば入所者の満足度が向上するだけでなく、そのことで施設で働くスタッフの気持ちも前向きに変わる。同時に入所率が安定することで施設の経営も安定させ、「3K職場」とも言われる介護スタッフの待遇改善につながる。施設のデザインを通じてこういうプラスの流れにもっていくための「ハード(施設)」を作りたいな…と思いました。

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とは言え、介護の現場で働く方からは「現実を分かっていない!」と怒られそうな気もしますが、そういう「理想」を掲げた上で仕事をした方がハッピーになるのでは・・・と思いますし、だからこそはぴりの!ではリノベーションのプランニングをする時に「予算」よりも「想いや気持ち」を大切にしています。

 

今回、いくつかの介護施設を見て感じた一番の「違和感」も、実はハード面ではなくソフト面の課題でした。

施設の方によると「入所者それぞれが自由に過ごして頂く時間」、ほとんどの方はおひとりずつぽつねんとテーブルに座って遠くを見つめられておられたり、きちんと読むでもなく新聞を眺めておられたりしました。

一方で「レクリエーションの時間」には、折り紙をおったり塗り絵をする光景を何度も見ました。確かに要介護状態にある方たち…とは言え、80年近くも生きてこられた人生の大先輩です。会社では何十年もバリバリと仕事し、家庭で何人もの子どもを育て上げたおじいちゃんやおばあちゃんが、本人の希望によらずなんとなく折り紙を“させられている”光景に、正直とてもツラい想いがしました。

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どんなにおしゃれで機能的な施設を作ったとしても、ハード面を揃えただけでは問題は解消出来ません。あくまでソフト(生き方や考え方)がしっかりしていてこそ、ハードは意味を持ちます。

リフォームやリノベーションのデザインを通じて感じるのは「やはり最終的にはハード(建物や間取り、設備、機器)よりもソフト(住む人の暮らしや考え方)が大切」ということです。

どんなにおしゃれな飲食店や洋服屋さんをデザイン&施工したとしても、オーナーが一番求めているのは「きちんと経営が成り立つ施設」です。東京などの大都市であればデザイン性だけで評価される店舗もありますが、福岡というローカルな市場では「形も中身も伴う施設」でなければすぐに飽きられてしまいます。

 

はぴりの!が今回改装を担当させて頂く介護施設の代表者さまとは、こういう「想い」が共有出来ています。だからこそ、私たちも単に施設の改修だけでなく、ソフトの魅力を最大限に活かすハードを提案させて頂きたいと考えています。今回テーマにさせて頂いたデイサービス施設は来春オープン予定です。進捗があったら改めてご紹介させて頂きますね。

 

イラスト小

 

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