10月のオープンに向けて、工事が進んでいるYKK APとの新モデルルームプロジェクト「数値化できない心地よさ」。誤解が生じてしまいそうなのですが、数値化できないのはあくまで「心地よさ」であって、断熱性能は数値化可能です。
YKK APのスタッフの方も、特設サイトのインタビュー内で「初めて聞いた時、大事なのは数値でしょ!と思った」と言われているのですが、確かに断熱を高める中で「目安となる数値」をクリアすることはとても大切です。

日本の断熱性能は欧米の健康先進国だけでなく、韓国や中国と比較しても低いまま長年放置されてきました。しかし2020年のパリ協定以降、CO2削減が国際的な目標となり、さらに原子力発電所の稼働が難しくなる中で、日本のエネルギー政策をより「省エネ」に転換する必要が出てきました。そういった「外圧」も踏まえ、一気に住宅についても断熱性能の向上が目指されることになりました。
だからこそ、日本では3省連携(国土交通省、環境省、経済産業省)でさまざまな補助金制度がスタートしました。新築では建築に関する法令を改定することで、一気に断熱性能の向上が進んだものの、既存住宅は簡単に進みません。とは言え、どうにか国際的な目標(公約)を達成するために、国は現在たくさんの補助金を用意している…という状況です。
実は「断熱材」には、さまざまな種類があります。繊維系にはグラスウールやロックウール、また新聞紙などの古紙を原材料としたセルロースファイバー。発泡プラスチック系としてはスタイロフォームなどのポリスチレンフォーム、現場で泡状に吹き付ける硬質ウレタンフォーム、精度の高さが特徴のフェノールフォームなどがあります。
それぞれにメリットとデメリットがあるのですが、今回のモデルルームでは業界最高クラスの熱伝導率0.019W/(m・K)を持つフェノバボードを採用。ちょうど、ホルムズショックで石油由来製品の入荷が難しい時期ではあったものの、各所からの協力で必要な部材を確保。無事に工事を進めることができました。
実は、断熱材は現場に応じた種類の選定も大事ですが、それと同様(もしかすると、それ以上)に隙間なく設置することが重要なんです。新築であれば、そもそも断熱材の付加を前提に設計がなされているものの、リノベーションでは既存建物に合わせて施工していく必要があります。
ですので、断熱材を追加する現場では今回のようにスケルトンベースの施工がおすすめですし、同時にきちんと施工時間を確保して(丁寧に)工事を進めることも重要です。ちょっとした隙間や熱橋(鉄部など熱が伝導しやすい部位)にも十分に対策を施しておかなければ、せっかくの断熱効果が著しく下がってしまうからです。
今回のモデルルームのタイトルは「数値化できない心地よさ」ではあるものの、その大前提となる「断熱を施した住宅の住み心地」や「数値化の重要性」については疑問の余地がありません。低断熱でアルミサッシが設置された日本の住宅は、イギリスの基準では「ほぼ欠陥住宅」です。
だからこそ私たちは「断熱性能の向上は当たり前」とした上で、さらにその上位目標である「空間自体の心地よさ」を目指します。デザイン的にも性能的にも「心地よい空間」の実現に向けて、YKK APだけでなく、温熱計算を実施してくれたリコシス、住宅設備を提案してくれたパナソニック ハウジングソリューションズと共に一歩ずつ取り組んでいきます。
完成に向けて、特設サイトでも少しずつ情報をアップしています。担当者のインタビューと断熱工事の様子をフォトギャラリーにアップしていますので、ぜひご覧ください。




























