

Enjoy at Home vol.21
団地でつくりあげた
ジャパンディな住空間
2026.06.08
- photo : Norito Nagatomo


Enjoy at Home vol.21
2026.06.08


これからの暮らしの在り方を先取りした実例をご紹介する Enjoy at Home プロジェクト。今回ご紹介するのは、アメリカ在住のRさんが母親から受け継いだ団地をリノベーションしたお宅です。こだわりのポイントや、日本とアメリカの住宅事情の違いなどについて話を聞きました。

▲築57年の団地をフルリノベーション。和テイストと北欧デザインが融合した「ジャパンディスタイル」の住まいが完成した。

▲アメリカ在住のRさん(写真左)。この日は一緒に帰省していた息子さん(写真右)と共に、インタビューに応じてくれた。
──
この家をリノベーションすることになった
経緯を教えていただけますか?
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Rさん
私は2004年にアメリカに移住し、
それ以来ずっとワシントン州シアトルに住んでいるのですが、
この団地で暮らしていた母が四国へ移住することになり、
私が譲り受けることになったんです。
母はここをとても気に入っていましたし、
私自身もこの団地が好きだったので、
売却するつもりはありませんでした。
日本に帰省したときに暮らしやすいよう、
リノベーションしようと思いました。

▲広い敷地内に1棟1棟がゆとりを持って建てられている。
──
この団地のどういうところを気に入っていたのでしょうか?
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Rさん
ここはスーパーも銀行も郵便局も
歩いて行ける距離にありますし、
バス停も近いので、車がなくても便利に生活できるんです。
母はよく「バスは行きたいところにピンポイントで行けるし、
駅のような階段もないから、高齢になると便利なのよ」
と言っていました。
団地ならではの、ゆったりとした環境も気に入っています。
緑が多く、とても静かです。
目の前には桜の木があり、春はとてもきれいです。
住民の皆さんが共用部の管理をしっかりされていて、
業者の方も毎日清掃してくれています。
もちろん弱点もありました。
断熱性能が低かったので、母が住んでいた頃は
底冷えや結露がひどかったです。
そこで、リノベーションの際は床と壁に断熱材を入れて、
窓はすべて二重窓にしてもらいました。
おかげで今は結露もなくなり、とても快適になりました。

▲格子戸から差し込むやわらかな光が、廊下に美しい陰影を描く。

▲窓はすべて二重窓にすることで、断熱性を高めた。

▲落ち着いた雰囲気の寝室には、趣のある欄間(らんま)が飾られている。




▲モダンな空間に、和のアイテムがさりげなく溶け込んでいる。
──
シアトルの家はどんなお家なんですか?
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Rさん
築80年ぐらいの一戸建てで、私が4代目のオーナーです。
アメリカでは、築100年超えの家も普通にあります。
ライフステージに合わせて中古住宅を住み替えていくのが一般的で、
「多くの人が人生のうちに3回ほど家を買い替える」と言われています。
新築よりも中古のほうが人気です。
新築の家は、住み始めてから
「コンセントはここにもあったほうがいいのに」とか、
「キッチンはもっとこうだったら使いやすいのに」
といった不便さが出てくるものです。
アメリカではそういう不便なところを、
自分たちでどんどん直していきます。
だから、新築よりも中古のほうが暮らしやすいんです。
私が買った家も、前のオーナーさんが
暮らしやすいように整備してくれていたので、
デザイン的な部分だけを自分好みにリノベーションしました。

▲ワシントン州シアトルにあるご自宅の写真。アメリカでは新築よりも「中古+リノベーション」のほうが一般的で、日常的にDIYもおこなうという。
──
日本では不動産価格が上がっていますが、
アメリカも上がっているのでしょうか?
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Rさん
アメリカのほうがもっと上がっていますよ。
私のシアトルの家も、購入時に比べたら
かなり値上がりしています。
アメリカでは家を買うとき、
「投資」という概念を絶対に外しません。
これから価値が上がりそうなエリアの家を買います。
家の中身はいくらでも変えられますが、
場所や環境は変えられません。
立地がよければ、みんな築年数なんて気にしないんです。
この団地も築50年を超えていますが、
全く気になりませんでした。

──
はぴりの!に依頼を決めた理由を教えてください。
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Rさん
はぴりのさんはまず、
ホームページがよかったです。
情報が盛りだくさんで。
団地リノベーションの経験も豊富で、
問い合わせ後のレスポンスも早く、
この会社なら安心して任せられると思いました。
──
打ち合わせはオンラインでおこなったのですか?
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Rさん
すべてZoomでおこないましたが、
非対面でも特に不便を感じることはありませんでした。
床や設備などもオンラインで決めて、
プランが完成したタイミングで一度私が日本へ来て、
各メーカーのショールームを案内してもらいました。
そこで実際の商品を見て、最終的に判断しました。
──
リノベーションの過程で、アメリカとの違いを感じましたか?
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Rさん
日本の場合は、窓口ひとつで完結するからすごくラクでしたね。
アメリカだと、水道は水道工事の業者さんを、
電気は電気工事の業者さんをそれぞれ自分で手配して、
すべて自分でやり取りしないといけないから大変なんです。
ショールームを一緒に回ってくれる
サービスなんてアメリカにはないから、
「え?一緒に行ってくれるの!?」と感激しました(笑)

▲洗面台はシンプルなデザインを採用。丸いミラーが、空間にさりげなく和の趣を添えている。トイレにはあえてドアを設けず、開放感のある空間に仕上げた。

▲格子戸が視線をやわらかく遮り、空間に奥行きを生み出している。

▲壁付けキッチンの背面には、IKEAのカウンターを設置。調理や配膳の作業スペースとして活躍するほか、人が集まったときのコミュニケーションの場にもなっている。

▲キッチンとダイニングがゆるやかにつながるレイアウト。料理をしながらでも自然と会話が生まれる。
──
リノベーションでは断熱に力を入れたということでしたが、
その他のポイントについて教えていただけますか?
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Rさん
アメリカでは洋式の暮らしをしているから、
日本に帰ってきた時は日本風の暮らしがしたくて、
ジャパンディな空間を目指しました。
扉や窓はすべて格子デザインを選んでいます。
団地の限られたスペースを有効活用するために、
収納は最低限に抑えて、
扉はすべて引き戸にしました。
リビングに造作してもらった
「折り畳み式収納ベッド」も、
空間を広く使うためのアイデアです。
日本には部品が売っていないので、
私がアメリカから部品を持参して作ってもらいました。
▲母親や兄弟一家が泊まりに来たときに活躍する「折り畳み式収納ベッド」。ひとりでも簡単に上げ下ろしができる仕様になっている。


▲骨董品が好きなRさん。帰国のたびに、馴染みのリサイクル業者の倉庫で器との出会いを楽しんでいる。


▲「この家にはできるだけプラスチック製品を置きたくなかった」というRさん。ティッシュケースやゴミ箱にも陶器を使用している。

▲異なる表情の器を組み合わせるのも、Rさんのこだわりだ。
──
シアトルの家では日常的にDIYをされるそうですが、
この家でもその予定はありますか?
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Rさん
やりたい気持ちはありますが、
このシンプルなジャパンディスタイルが
とても気に入っているので、
当面は我慢しようと思っています。
ダイニングにスツールやベンチを追加して、
もっと大人数で寛げる空間にしたいですね。
──
それでは最後に、これからリノベーションをしようと
思っている方へ、メッセージをお願いできますか?
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Rさん
せっかく自分の家を好きにできるんだから、
我慢しないことをお勧めします。
日本人って「普通はこうだから」
「みんなはこうしているから」
という意見に流されがちでしょう?
そんなの気にせずに、「自分はこうしたい!」
という気持ちを伝えることが大切だと思います。
きっと、はぴりのさんがカタチにしてくれますよ!

はぴりのスタッフ
さまざまな分野で、多様な価値観が認められる社会となりました。それでも、なぜか日本のマイホームは、いまだに画一的な「新築住宅」が中心です。
もしかすると、海外での暮らしが長いお客さまだからこそ、日本の「魅力」を再発見されているのかもしれません。表層的な「和モダン」ではなく、団地という日本人が育んできた生活の場をベースに、現代にマッチした「モダンな空間」が完成しました。
「暮らしは文化」と言われますが、その発展には新たな気づきが必要です。お客さまとの会話を通じて、私たちが見落としがちな「団地の魅力」を再認識できたこと、心より感謝しています。