The Power of Design
設計を考える
設計を考える

デザインの力 #01

「設計」を考える

株式会社HIGHEND 徳永 祐史

株式会社HIGHEND

徳永 祐史

当プロジェクトの設計・デザインを担当。富裕層向けのハイクラスな新築やリノベーションを得意としている。

株式会社はぴりの 吉川 雄樹

株式会社はぴりの

吉川 雄樹

はぴりの!の若きリノベーションプランナー。丁寧なヒアリングに基づく、スッキリとした住空間設計に定評がある。

インタビューの舞台に選ばれたのは、広島県福山市にある某タワーマンションのラウンジ。
同建物内にある徳永氏がリノベーションした一室を内覧後、
吉川氏が「設計」の考え方について話を聞いた。

吉川

先ほど徳永さんが手がけたお宅を拝見しました。
モダンで高級感があり、とてもカッコよかったです。

本日は徳永さんに「設計」に対する考え方と、
いまつくっている「モデルルーム」の
ポイントについてお話を聞きたいと思っています。

徳永さんは家を設計するうえで、
何が一番重要だと考えていますか?

徳永

ぼくは「間取り」ですね。
間取りがしっかりと設計されていれば、
立ち上がった時に空間が生きてきますから。

吉川

それはちょっと意外です。
ハイグレードな素材や設備に
重きを置いているのかなと思っていました。

間取りを設計する際、
どういうことを意識していますか?

徳永

ぼくの設計に対する考え方の根本は
「ゆとり」を持たせるということです。
通常、削除されがちなところにゆとりを持たせます。

たとえばマンションの場合、廊下の幅ってだいたい90cmなんです。
それがセオリー。みんなそのセオリーに沿って設計します。
玄関も特に広くはしません。

でもぼくは必ず玄関と廊下を広くするんです。
だって毎日通るところですよ。
家を出る時、帰ってきた時、必ず玄関と廊下を通るでしょう。
そこにゆとりがないと生活していて窮屈さを感じますから。

吉川

廊下にゆとりを持たせるというのは、
なかなか無い発想で面白いです。
廊下にゆとりをつくるためには、
元の家に広さがないと難しいですか?

徳永

いやいや、普通のマンションでもできますよ。
例えば廊下は「太く短く」でもいいわけです。
そういうレイアウトを組めばゆとりは生まれます。

マンションの既成図面だと「廊下は長いもの」
という概念があるけど、それに縛られる必要はないんです。

徳永氏がリノベーションした最上階の一室。海外製のクロスやタイルを使用して、モダンで高級感のある空間を創り上げている。
「玄関は家の顔。玄関が良かったら、その先の空間もおのずと良くなるんです」と徳永氏。
廊下は一般的な幅よりも20cm以上広く確保されている。玄関と廊下に「ゆとり」を持たせるのが、徳永流の空間設計。
サウナが併設された洗面スペースも「ゆとり」を感じる空間となっている。
タイルの角を斜めにカットすることで、コーナーの「勝ち負け」を解消しスッキリとした印象に。
洗練された住空間は、こうした細かなディテールの積み重ねによって作られる。

吉川

ホームぺージでも拝見したのですが、
徳永さんが手掛けた家からは
「素材」へのこだわりを強く感じます。
どういう風に選んでいますか?

徳永

素材選びはかなりこだわりますね。
ぼくは普段からいろんな素材を使うんです。
石、タイル、アクセントクロス、主に海外製のモノを使います。
やっぱり海外製のモノって色や柄が絶妙なんですよ。

さっき見てもらった家でも、
海外製のタイルやクロスをふんだんに使用しています。
もちろんお金はかかるけど、
そのぶん空間のクオリティは上がります。

ただ勘違いして欲しくないのは、
高くて良い素材を使うだけで
良い家が出来るわけではないんです。
使い方を間違えれば、どんなに高価な素材を使っても
心地いい家にはなりません。

吉川

使い方次第ということですね。
特に海外製のクロスなどは個性が強いぶん、
使う側の技量が求められますよね。
何か徳永さん流のコツがあるんでしょうか?

徳永

色のトーンを合わせてあげる事。あとはその配分ですね。
目に優しい、心地いいバランスというのがあります。

最初に言った「ゆとり」って、広さのことだけじゃないんです。
全体の色使いや照明の使い方で、心地いい空間をつくること。
それによって住む人の「心」にもゆとりが生まれます。

ぼくはミラノサローネ(※イタリアで開催される世界最大規模の家具見本市)
に行って本場のモダンデザインに触れたり、
いろんなホテルに宿泊してデザインを吸収したり、
海外のインテリアサイトを見て
空間の色合いや素材感を学んできました。
もちろん今でもやっていますよ。

最終的には「自分が住みたいと思えるかどうか」で決めますね。
と言っても、好みの押しつけではないんです。

吉川

わかります。「自分だったら」という視点は、
一緒に家をつくるパートナーとして大事ですよね。
ディテールに関してはいかがでしょうか?

徳永

ディテールは正直、自己満足の部分もあるけど、
例えば壁にタイルを貼る時には
端っこの小口(断面)を見せずに角にする、
見切りはすべてシャープなものを選ぶ、
そういう細かな部分にも徹底してこだわります。
それが空間全体のクオリティに直結するんです。

部屋に入った瞬間「なんか良いよね」
「なんかカッコいいよね」という感覚は、
細かなディテールの積み重ねによって生まれると思っています。

吉川

今回の百道浜のモデルルームの
こだわりポイントを教えてください。

徳永

一番力を入れているのは玄関です。
玄関に関しては、ハイエンドがいつも手がけている
富裕層向けの家と同等の広さとクオリティがあります。

廊下も通常のマンションより広くしていて、
かなりゆとりを持たせています。
間接照明の使い方にも注目して欲しいですね。

玄関に入った瞬間、おそらく「お!」ってなるはずです。
今までのはぴりのさんのテイストとは違うよね、
という印象を受けると思います。

玄関に入った瞬間にゆとりを感じられて、
その印象が廊下からリビングまでずっと続いていきます。

吉川

玄関を開けた時の景色が楽しみです!
今回はいつものハイエンドさんの案件とは違い、
リノベーション予算も限られた中でのプランニングでした。
その点で、難しさはありましたか?

徳永

もちろん全体のコストは
普段に比べるとかなり下げています。
でも考え方の根本は同じです。

特に間取りの設計に関しては、
富裕層向けのリノベーションも
一般的なリノベーションも同じで、
価格に差が生まれるのは素材と設備です。

いつもなら海外製のクロスを使うところを、
国内メーカーで引けをとらないクロスを使ったり、
家具屋に発注して木のルーバーを造るところを、
大工さん工事で代用したり。

普段やっているハイエンドのディテールを、
限られた予算内でどう実現するか?
その工夫が随所で見られると思いますね。

吉川

それはまさに、今回のプロジェクトテーマである
「Power of Design(デザインの力)」ですね。
ちなみにそのようなコストカットの工夫を、
これまでにもやったことはあったんですか?

徳永

少し前にハイエンドでも買取再販物件を手がけたんです。
その時に試しましたね。それが反響抜群だったんですよ。
それで「できる」と確信しました。

吉川

なるほど、そのベースがあったんですね。
コストを抑えることに関しては、
はぴりのが得意としている部分です。

今回のモデルルームで使う
キッチンなどの住宅設備については、
徳永さんの世界観を壊さない中で
当社から複数の提案をおこない、
徳永さんに選定していただきました。

徳永

設備も大事なのは選び方です。
同じ予算でも安っぽく見えてしまう選び方と、
安くてもそうは見えない選び方があります。

色のトーンやカタチが空間デザインにちゃんと合っていれば、
ハイグレードな設備じゃなくても良く見えるんです。

吉川

今回のモデルルーム、
どういう人に見てもらいたいですか?

徳永

はぴりのさんの通常のお客さまに見てもらいたいかな。
立地が百道浜なので物件価格は高めではありますけど、
リノベーション費用ははぴりのさんの価格帯と変わりませんから。

「これぐらいのリノベ費用で、
ここまでモダンでゆとりのある家づくりができるんだ」
というのを、ぜひお見せしたいと思っています。

( 2025年8月26日 広島県福山市にてインタビュー )