
2022.07.25 (Mon)
PROJECT DIARY Vol.1
城南区長尾2丁目にある下長尾住宅3号棟。昭和49年に建てられた団地です。1号棟、2号棟、3号棟が連なる広い敷地は緑豊かで、窓から見渡せる景色は絶景です。そんな団地の一室を、これからの新しいスタンダードとなる家へとリノベーションするプロジェクトがスタートしました。
物件の価格が高騰している今、比較的手頃な価格で実現できる団地リノベは以前にも増して注目されています。「団地リノベ」という言葉の響きもイイですよね。昭和の日本人が愛した古き良き団地を、現代の家へとアップデートさせることにロマンを感じるのかもしれません。
しかもこのプロジェクト、福岡リノベ業界の重鎮「リノベエステイト」と、年間50件以上のリノベ施工数を誇る「はぴりの!」による、2社協業プロジェクトなのです。主にデザイン面をリノベエステイトが担当し、物件の買取再販および工程管理をはぴりのが担当します。
7月25日の午後、はぴりの事務所で最初の2社間ミーティングが行われました。このミーティングの目的は「リノベの方向性」を決めること。そしてプロジェクトの「ネーミング」を決めることです。
まずはリノベエステイト代表の松山さんが、事前に描き上げてきた手描きのプラン案を提示してくれました。
現状の間取図からご紹介します。
最上階の5階にある64.25㎡の3LDK。昭和団地のオーソドックスな間取りです。
これを松山さんがどのようにプランニングしたのでしょうか。早速3つのプランをご覧ください。
各プランやペルソナについての説明は、ここでは割愛しますが、実際には詳細な顧客像を設定し、それに合わせたプランニングをおこなっています。
ちなみにこの手描きの間取図、考える時間を含めてわずか6時間で制作したというから驚きです。「空間がなりたがっている姿が、自然と見えてくるんです」(リノベエステイト松山さん)
みなさんはどのプランがお好きですか?ミーティングに参加した5名は全員、同じプランを選びました。それは・・・プランCです。
玄関側に設けたワークスペースで、生活と仕事を両立できるという点が全員に支持されました。コロナ禍という言葉を安易に当てはめたくはありませんが、今の時代に最もマッチしたプランがCなのかもしれません。
ということで、間取りはC案をベースに進めていくことが決定。ここから更に細かい調整を重ねて、ブラッシュアップしていくことになります。
続いてネーミングについて協議します。下長尾住宅の緑溢れるロケーション、ワークスペースを設けた間取り、それらを加味したうえでプロジェクトにふさわしい名前を皆で検討します。
「想いをつなぐ家」
「5階だけど住みたい家」
「ワーケーションの家」
「必要にして充分」
などなど、、、いろいろな案が出る中、最終的に「これがいいんじゃない?」となったのがこちら。
WORKATION HOUSE
~暮らす 働く 考える~
ワーケーションというのは「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語です。SOHOスペースで快適に仕事ができ、団地ならではの緑豊かな環境で心とカラダを休めることができる。そんな家を「WORKATION HOUSE」と名付けました。
そして「~暮らす 働く 考える~」というサブタイトルですが、「暮らす 働く」は言わずもがな、最後の「考える」がポイントです。
実は今回のリノベーション、熱交換換気システムを導入した断熱&低燃費住宅の実現も目指しています。「人にも環境にもやさしい家づくりこそ、これからのスタンダードになる」と位置づけ、プロジェクトの根幹のひとつとして取り組むことになりました。
「暮らしのこと、環境のこと、不動産のあり方など、我々はもっと考えないといけない。そんなメッセージをこのプロジェクトを通じて発信していけたらいいなと思います」(はぴりの!山崎さん)
そういえば、「食う 寝る 遊ぶ」という糸井重里さんがつくったコピー、ありましたよね。あれから30余年が経ち、令和の時代にふさわしい「暮らす 働く 考える」が今ここに誕生しました(ぱちぱちぱち)
こうしたブランディングを広告代理店に丸投げすることなく、自分たちで考えてカタチにしていく。そんなクリエイティブへのこだわりが凝縮されたミーティングとなりました。
一体どんなWORKATION HOUSEが出来上がるのか、今からとても楽しみです。次回は解体前の現場をお届けする予定です。
記事を書いている人
福岡市在住のフリーランスWEBデザイナー。
自らも築40年の中古マンションを購入してリノベーションした経験あり。