2022年4月1日から、石綿(アスベスト)の事前調査結果の報告義務化がスタートしました。工事請負金額が100万円を超える工事、80平米以上の解体を含む工事など、いわゆる「リノベーション工事」であれば、ほぼすべてで適切な対策と、国への報告が義務付けられました。
それでもリフォーム、リノベーション業界の中で、しっかり対策している会社はそれほど多くない気がします。今回の制度変更では国への報告義務が生じただけではなく、工事を実施する前の調査や解体に際して費用がかかることになりました。そのため、まずはきちんと事業者側が制度を理解し、お客さま(依頼者)にも費用負担を求めなければならないからです。
悪質な例としては、調査及び適切な解体にかかる費用を削減(実際には「削減」ではない…のですが)するために、当初予定ではキッチンとお風呂の取替えで190万円だった工事請負契約を2分化し、それぞれ95万円の工事に分けて受注した事例もあるとのこと。
法律によると「工事請負金額が100万円未満の工事、80平米未満の解体を含む工事」は「国への報告義務」がないだけで、実質的対策は必要と定められています。そのため、請負金額を半分にしたからといって、対策が不要となる訳ではありません。
一般的に、アスベストが大量に使われているのは建物の構造部ですが、微量な使用箇所としては石膏ボードやビニル床タイル、キッチンパネルの接着剤などとしても使用されていたため、築20年を超えるような住宅では「ほぼどこかで使用されている」のが実情です。
もちろん、凝固化された状態ですので、特に日常生活で不安視する必要はありません。また、解体時にもしっかりと飛散防止対策をすれば(レベル3程度の解体では)、実作業にそれほど大きな不安もありません。
厳しい意見かもしれませんが、最大の課題は「リフォームやリノベーション事業者がしっかり勉強し、お客さま(依頼者)に追加費用をご負担頂く必要が生じた」にも関わらず、その説明や対策が間に合っていない点かも知れません。
当社ではアスベストの事前調査と検体調査、廃棄対策、Gビズへの登録ができる準備を整え、リノベーション工事を予定されているすべてのお客さまに「必要な費用と対策」を明示できる社内体制を整えました。
そこに住む人だけでなく、工事の関係者、近隣生活者などに対しても「アスベスト被害を生じさせない」ことが法の趣旨です。オシャレなリノベーションである前に「安心&安全」であることが、なによりも大切だと感じています。
アスベスト対策に関する詳しい情報は、厚生労働省の特設ページ「石綿総合情報ポータルサイト」でご覧いただけます。当社の取り組みについては、リノベーション事業部の担当者にお問合せください。