新しく追加した施工例をご紹介します。珍しく、今回は「宅内の写真」からではなく「間取り図」を最初に掲載したいと思います。
さて、皆さまはこの間取りをどのように「言語化」されるでしょう。実際にはご家族4人が住まれているお宅です。ちなみに、子どもさんお二人は同性の姉妹です。
建築の原則に基づいて言うのなら、実は「1LDK」が正解です。リビング横の「洋室2」と記載されている空間は、完全に壁で覆われている訳ではないため個室とは見做されません。
最後の写真が一番わかりやすいのですが、リビングとの間には「腰壁」があるだけで、あくまで緩やかに区切られただけの状態です。ですので、厳密には「居室」と言えない訳です。
それでも、いまの時代はテレビがリビングの中心ではありません。子どもが大きくなった後の暮らしでは、家族それぞれがパーソナルな空間で比較的長時間を過ごし、食事の時や会話を楽しむ時間帯に団欒を楽しむスタイルが増えているのではないでしょうか。
そんな時代にマッチした、ゆるやかなリビング兼ご夫婦の寝室空間となっています。
そして、もう一つのポイントが「洋室1」と記載された空間です。しかし、不思議なことにこのお部屋にはドアが2枚取り付けられています。
もうお気づきと思いますが、もしご家族が必要な場合には壁を追加で設置し、2室化できるよう準備をしているのです。新築建売メーカーさんの新居の2階で、まれに採用されている手法です。ちなみに、その際は「2室」と表記されることが多いようです。
そんな空間にご主人がDIYで間仕切り壁(?)を造作し、姉妹が程よくプライバシーを確保できるよう配慮されています。
皆さんご存知の「ディアウォール」を柱代わりとし、上手に有孔ボードをその間に設置されていますね。私たちがプロとして作り込むのではなく、こういうDIYでマイホームをアップデートしていくのもステキなことだと思います。
今回ご紹介しているお宅にはたくさんの観葉植物あり、ご家族が愛情を込めて育てていることが伝わる空間でした。いつもお話ししているのですが、マイホームを購入してリノベーションしたとしても、そこがゴールではありません。むしろ、新しい生活のスタートです。
こんなにたくさんの植物との暮らしをスタートされたご家族にとっては、やっぱりこの状態がスタートラインなのは間違いありません。
一般的に間取りの概念にとらわれるのではなく、それぞれの家族が住みやすい空間づくりを楽しめのがリノベーションの醍醐味です。実際のところ、ほとんどの新築やハウスメーカーでは、会社が用意したお仕着せの間取りやデザインの中から選択するしかありません。
トータルコストを抑えながら、家族が住みやすく、自分自身もワクワクする暮らしの場を実現する。今回のようなオンリーワンの暮らしを実現できるリノベーションが、もっともっと広がっていくことを私たちは願っています。