首都圏では2016年以降、新築マンションと中古マンションの販売数が拮抗していましたが、2019年以降は中古物件の販売数が新築を上回り、その差は年々広がっています。そしてその傾向は首都圏だけでなく、全国でも広がっているんです。
その理由として、一般的には下記のような項目が挙げられています。
・新築マンションの供給数が減少し、なおかつ価格上昇が著しいため、購入できる層が減っている
・首都圏だけでなく、地方の都市部でも戸建からマンションへと住み替えが進んでいる
・団塊の世代が高齢化し、若い世代だけでなく60代以上でもマンションのニーズが高まっている
・新築と比較して中古マンション価格が手頃なため、そもそもニーズが高まっている
・リノベーションが発達したことで、中古物件の再活用法や価値が見直されている
・買取再販を行う企業が増加している
この中で注目すべきなのが、一番下に記載している「買取再販事業者の増加」です。
全国大手の企業は年間1,000戸以上の物件を購入し、それらをリフォームやリノベーションして再販しています。
ちなみにリフォーム産業新聞の調べでは、マンションの再販1位はレジデンシャル不動産(年間買取数 : 1,352戸)、2位は大京穴吹不動産(以下同 : 1,152戸)、3位はインテリックス(1,129戸)、4位はスターマイカ(1,100戸)となっています。なお、戸建の買取再販では圧倒的1位がカチタス(4,276戸)で、2位以下と大差をつけています。
ちなみに、買取再販の仕組みを簡単に図示すると、下記のようになります。
ここで注目して頂きたいのが、実は「仲介する不動産会社」の存在なんです。
買取再販会社は、自身で売主を見つけることもありますが、多くの場合は地域の不動産会社(全国最大手では三井のリハウス、地場大手では三好不動産など、分かりやすくいうと「スーモなどのポータルサイトを見た時に、社名が出ている身近な不動産会社」です)の紹介で物件を購入し、販売します。
察しの良い方は既にお気づきの通り、実は買取再販のビジネスで利益が大きく増えたのはこういった仲介会社なんです。
買取再販の会社は実際にお金を出して物件を購入し、さらにその物件を工事して、売却するという流れの中で、金銭的にも一定のリスクを負っています。上手に工事して売却することで利益を得られる一方、売却に手間取った場合には、利益どころか損失を負うリスクもあります。
ところが、仲介会社はまず最初の売主から買取業者への橋渡し時に仲介手数料を(売主と買主の双方から)得られるだけでなく、今度は売主となった再販会社から売却を依頼されるため、最大4回もの仲介手数料を獲得することができるんです。
こうやって見直してみると、買取再販が日本の不動産ビジネスの中で成長する過程において、比較的リスクを取らずに利益を拡大させたのが仲介会社だということが分かりますよね。
それでも、このビジネス自体は一般的であり、決して悪いことではありません。
ただし、エンドユーザー(このページを見られている「未改装の中古物件を買いたい」という方)にとっては「買取業者」という強敵が現れたことになります。
エンドユーザーと比べると買取業者の方がスピード感と資金的余裕があるため、どうしても「競り負けてしまう」ことがあります。また、仮に同じタイミングで両者が申込みをした場合、仲介会社としては「利益拡大につながる買取業者に売りたい」という意志をどうしても持ってしまいます。
それでも、買取再販というビジネスは「悪」ではありません。
確かに、リノベ会社の視点だと「素材」としては良い物件だったにも関わらず、買取業者さんの工事によって魅力を下げられた時には残念に感じますが、そういったプレーヤーはいずれ市場から淘汰されるはずです。
エンドユーザーが意識しておくべき点は、買取再業者が増えたことで「中古物件探しのライバルが一気に増えた」という事実と、だからこそ「スピード感を持って物件の弱点を見抜き、希望する物件を選定する必要がある」という2点です。
私たちは福岡でトップクラスの「ワンストップサービス」を提供するリノベーション会社として、これからも「安心と安全を優先しつつ、お客さまがライバルに競り勝てる対応(物件の事前診断やリノベーションプランのスピード化)」を心がけていきます。