中古物件を購入してリノベーションをすれば、
コスパに優れていて、私らしいマイホームに
なることは分かっているんですが、
どうしても建物の古さが気になってしまうんです。
確かに、新築物件の方が耐震数値は良いですし、
エネルギー効率が高いことは事実です。
ただし「築何年までの物件なら大丈夫」
というくくり方には意味がありません。
例えば中古車が、
「どこで保管して、どんな乗り方やメンテナンスをしてきたか」
が重要なのと同じです。
住宅も一軒ずつの状況に応じて判断すべきです。
タワーマンションの構造や工法などは、10年単位で見るとかなり進化していますし、戸建てでも耐震強度やZEH(ゼッチ)に関する指標が高まっているのは当然です。しかし、どの建築士に聞いても「耐震に絶対はない」と言いますし、「工法より地盤が重要」とも言われます。
また、数年前に横浜市で三井不動産が販売した新築マンションでは、設計通りに杭打ちされていなかったことが入居後に判明し、大きな社会問題となりました。「新築 = 安全」とは言い切れない時代なのです。
逆に中古物件の場合、時間の経過とともに「悪いところは表面化している」ことが多いので、不具合があったとしても、その事実を確認することが可能です。いずれにしても、「築何年以内の建物なら安心」というルールが論理的でないことは明らかです。
中古マンションを購入した場合、
築50年や60年を超えると、
建て替えがあると考えてもいいのでしょうか?
現存するほとんどのマンションでは、
経済的負担が大きいことから、
建て替えは想定されていません。
一方で、マンションで使われているコンクリートの強度は、
メンテナンスさえ怠らなければ、
80年から100年持つとも言われています。
日本に700万棟近いマンションがある状況を考えると、
近い将来、中古マンションの建て替えに関する
国レベルでの議論は避けられそうにありません。
建て替え問題に関わらないためには、新築マンションか戸建てを選ぶしかありません。しかし、戸建てであったとしても、人口減少のあおりを受けて資産価値が減少し、売却すらできない「負動産」になってしまう可能性も十分にあります。
ドイツでは、1年間に建てられる新築の戸数を行政がコントロールすることで、需要と供給が保たれており、結果として不動産価格が一定水準を維持しています。
日本はこれまで「拡大再生産」で「より良いものを、より安く」という考えが主流でしたが、人口が減少していくなかでは「サスティナブルな社会」への変革が急務です。
中古住宅を社会の資産として活用し、QOL(クオリティ・オブ・ライフ / 生活全体の豊かさ)向上に結びつけていく取り組みが求められています。
コストが高くても新築を買う。
築20年の物件を買って少しだけリフォームして30年後に売る。
築45年の安い物件を買ってリノベーションして人生最後まで住む。
どれが正解なのかは正直なところ分かりませんが、
マイホームを購入する時って、
これからの人生を考える良い機会なんですね。
不確定なことが多くて恐縮ですが、
マイホーム選びに「絶対的な正解」はありません。
もちろん、ずっと賃貸という選択があっても良いと思います。
だからこそ私たちは、お客さまそれぞれの
経済的事情も含めた詳しい話をお聞きして、
最適と思われるアドバイスをさせて頂いています。