Enjoy at Home vol.16
家具と照明を
主役にした家
2024.01.05
- photo : Norito Nagatomo
Enjoy at Home vol.16
2024.01.05
これからの暮らしの在り方を先取りした実例をご紹介する Enjoy at Home プロジェクト。今回は人気インテリアショップ「ホームシック博多」で店長を務める日高さんが、約60平米の築古マンションをフルリノベーションしたお宅をご紹介。「家具を美しく見せることにこだわった」という日高さんに話を伺いました。
▲ダクトレールと照明のラインを中心に、シンメトリーに配置したアートとのバランスが美しい。
──
中古リノベで家を買おうと思った
きっかけを教えていただけますか?
日高さん
仕事柄、リノベ物件に触れる機会が多いので、
「中古リノベ良いな」とずっと思っていました。
お金の面でも現実的だし、
自分の好きな空間を一から作れるところに
魅力を感じていたんです。
当時住んでいた賃貸アパートにも飽きて
引っ越したいなと思ったタイミングで、
よく一緒に仕事をさせてもらっている
はぴりの!さんに相談しました。
──
物件はどういう条件で探したのでしょうか?
日高さん
まだ独身だし、家を買ったとしても
一生住み続けるつもりは無かったので、
あとから売ったり貸したりしやすい
「駅チカ」の物件を探しました。
立地と管理状況さえ良ければ、
築年数は古くてもよかったんです。
築古のほうが良い場所に建っていることが多いし、
価格が安いぶん家具に予算を回せるから、
理想の家づくりがしやすいと思いました。
▲「家の中にお気に入りスポットをどれだけつくれるかが、暮らしの満足度向上につながる」と話す日高さん。ソファからの眺めが一番のお気に入りスポットだ。
▲リビングの照明はダウンライトを使わず、ダクトレールと間接照明にすることで、明るすぎない空間にしている。
▲躯体と家具とアート。
▲可愛らしいブルーの象のブックエンドが、グレイッシュな空間に映える。
▲どの位置から見ても様になるよう、家具や照明の配置にこだわった。
▲日高さんお気に入りのルイスポールセンの照明。
▲玄関も間接照明に。廊下のランプ下にあるのは、デンマークのビンテージキャビネット。
──
家を買うことへの不安はありましたか?
日高さん
不安よりも楽しみのほうが大きかったです。
賃貸の時は置ける家具が限られていたので、
好きな家具が置けると思うとワクワクしました。
住宅ローンの月々の支払い額は、
賃貸の時とほとんど変わっていません。
管理費と積立金の分、すこし増えてはいますが、
それで自分の理想の家と暮らしが手に入ったので、
「もっと早く買っておけばよかった」と思っています。
──
家づくりはどのように進められましたか?
日高さん
ぼくの場合はまず「家具ありき」で考えました。
普通は間取りに合わせて家具の配置を
考えると思いますが、その逆ですね。
自分でデザインしたソファやテーブルが
映える空間にしたかったんです。
夜な夜な自分で図面を描き
「こんな感じにしたいです!」と
はぴりのさんに伝えました。
DIYもさせてもらったり、
はぴりのさんにはいろいろと
ワガママを聞いて頂き、
本当に感謝しています。
──
DIYもされたんですね。
日高さん
そうなんです。
躯体の壁を自分で削ったり、
できる範囲でやらせてもらいました。
住みながら作り続けるのも面白いかなと思って、
未加工のまま引き渡してもらった部分もあります。
だけど思った以上にDIYは大変で、
実際はあまり出来ていません(笑)
▲間接照明が生み出す美しい陰影。「家全体を明るくしすぎないことで、雰囲気のある空間になる」と日高さん。
▲キッチンの壁に設置したデスクランプが、無骨な躯体現しのキッチンスペースをより個性的なものにしている。
──
躯体現しの壁と照明使いがとても印象的です。
日高さん
躯体現しと配管の露出は憧れでした。
コンクリートって無機質なのに、
表情豊かで面白いなあと思います。
最初はキレイな躯体が良いと思っていたけど、
解体して現れたのは結構ボロボロの躯体でした。
だけど今は、この唯一無二の感じが気に入っています。
照明は家の雰囲気を決める
大事な要素なのでこだわりました。
リビングにはダウンライトを1個も使わず、
ダクトレールと間接照明だけにしています。
ポイントは明るくしすぎないこと。
これは好みの問題になってきますが、
今の日本の家って明るすぎると思うんです。
夜になったら暗さを感じるくらいがちょうどいいかなと。
──
実際の住み心地はいかがですか?
日高さん
最高です。
よく「躯体現しは寒い」と言いますが、
全然そんなことないです。
前の木造アパートよりも暖かいです。
この家で暮らすようになって、
自炊をするようになりました。
キッチンが大きいと
料理をしようという気になれますね。
そして何より、好きな家具に囲まれて
毎日過ごせることが幸せです。
▲寝室の壁にあるスリットガラスから、やさしい光が入る。
▲リビング側から見たスリットガラス。こうした遊び心もリノベーションの醍醐味だ。
▲寝室への入口をガラス扉にすることで、圧迫感を軽減。
▲築古ならではの表情豊かな躯体。
▲造作した洗面台。十字ハンドルの水栓がポイントに。
▲こだわりの照明器具を選ぶことで、トイレも雰囲気のある空間になっている。
──
それでは最後に、リノベーションを
検討している方へのアドバイスをお願いします。
日高さん
ぼくが一番伝えたいのは
「細かいことはあまり気にしなくていい」
ということですね。
例えば、フローリングの下には
防音のためのクッション材を敷いていて、
歩くとすこしフワフワします。
最初は「気になるかな?」と思っていたけど、
住んでみると全く気になりません。
自分でやるつもりだった巾木の設置が、
いまだに出来ていない箇所がありますが、
生活するうえで何の支障もありません。
細かいことを気にしていろいろと心配するより、
自分の好きな空間をつくることを、
思いっきり楽しんで欲しいです。
そして「理想の暮らし方」は
家具とリンクすることが多いので、
ぜひ間取りを考える時は、
家具とセットで考えることをお勧めします。
はぴりのスタッフ
家具を提案するプロの家らしい、とってもワクワクする空間です。同時に「好きなものに囲まれて暮らす」ことで、生活自体が充実している様子が垣間見えます。その背景には「理想の暮らしを、予算内で実現できた」という、経済的な視点も含まれるのではないでしょうか。
また、今回のお宅では当社スタッフが施工する部分と、ご自身でDIYする部分を大変上手にシェアされています。お互いにプロだからこそ理解しているのが「DIYは予算削減の手段ではなく、自分の理想を叶えるための手段である」という事実です。その点をお客さまと施工会社が高いレベルで意識共有できなければ、残念ながらDIYはデメリットの方が多いと思います。
一部の金融機関では物件費とリノベ代だけでなく、家具などの購入費も住宅ローンに含めることが可能です。ポイントは、最初の資金計画からそういった予算を考えておくこと。物件選びからスタートするワンストップサービスだからこそ、こだわりを持ったお客さまの「理想の暮らし」を実現させていただきます。