ご面会したお客さまから、よく下記のような質問を受けます。
「中古物件を購入してリノベすれば、コスパに優れていて、私らしいマイホームになることは分かっているんですが、どうしても建物の古さが気になってしまうんです」
確かに、新築物件の方が耐震数値は良いですし、エネルギー効率が高いことは事実です。ただし「築何年までの物件なら大丈夫」というくくり方に、本当は意味がありません。
例えば中古車が「どこで保管して、どんな乗り方やメンテナンスをしてきたか」が重要なのと同じです。住宅も一軒ずつの状況に応じて判断すべきです。
これまでもご説明しているように、なにごとにも「メリットだけ」はあり得ません。メリットとデメリットを正しく認識して、自分の予算内で優先順位をつけるべきなのです。
実際には中古と新築では、新築の方が構造的には優れていることがほとんどです。タワーマンションの構造や工法などは、10年単位で見るとかなり進化していますし、戸建てでも耐震強度やZEH(ゼッチ)に関する指標が高まっているのは当然です。
しかし、どの建築士に聞いても「耐震に絶対はない」と言いますし、実際には「工法よりも地盤が大事」とも言われています。
テレビニュースでも最近大きく取り上げられたように、福岡市東区でJR九州が販売したマンションで設計通りの杭打ちがされていなかったことが判明し、大きな社会問題となりました。築年数だけで判断すべきではない、簡単な指標と言えるのではないでしょうか。
逆に中古物件の場合、時間の経過とともに「悪いところは表面化している」ことが多いので、不具合を確認することが可能なことはメリットと言えるでしょう。
・コストが高くても新築を買う
・築20年の物件を買って、少しだけリフォームして30年後に売る
・築45年の安い物件を買って、フルリノベして人生最後まで住む
どれが正解なのかは正直分かりませんが、マイホームを購入する時こそ、これからの人生を考える良い機会だと思います。厳しいようですが、マイホーム選びに「絶対的な正解」はありません。
だからこそ私たちは「築年数」と言う分かりやすい指標を絶対視せず、お客さまそれぞれの経済的事情を勘案しながら、ベターと思われる物件を丁寧に見極めて、正しいアドバイスをさせて頂きたいと考えています。