アシンメトリーとは「非対称」のこと。つまり右と左が非均衡である状態や、複数の価値観が混在している状態を指します。
今回ご紹介するお宅は、改装前も外観と内観の異質さがデザイン上の特徴だったものの、リノベーションを経たことで内部素材の多様性や新旧デザインの融合がさらに進み、アシンメトリーな美しさを持つ空間へとブラッシュアップされました。
そもそも、今回のお宅の外壁鋼板とフェンスをご覧頂くと、無骨で男らしい宅内をイメージされるのではないでしょうか。しかし、実際の宅内は木材を多用した、とても優しい雰囲気に仕上がっています。
また、宅内の仕上げ材はラワン合板やOSBボードなど木質の違いが上手に組み合わされているだけでなく、アイアンやタイルなどの異質な素材がレイアウトされることで、さらに「不均衡な美しさ」が生まれました。
新しいものには新しいものなりの良さがあり、年月を経たものにも同様の良さがあります。
リノベーションは「すべてを新たにする」ことではなく、いま「そこにあるもの」とバランスよく組み合わせることが醍醐味の一つです。
その分、工事の難易度は増すので「コストカットにつながる」訳ではないのですが、それでも「新しいものと古いものを混在して使うこと」によって得られる満足感は、そこに住む人の心を十分に満たしてくれるものだと思います。