ご存知の方も多いと思いますが、不動産購入においても「価格交渉」は可能です。ですが、買主にとって良い結果、つまり価格ダウンを実現するためには「押さえておくべき5つのポイント」があります。
そのポイントを外すと、逆に価格交渉が暗礁に乗り上げることも多いので、簡単に注意点をご紹介しておきます。
1. 最終的に「価格決定権」は売主にある
不動産取引において「売主と買主は対等である」と言われていますが、価格に関する決定権は売主にあります。家探しの前半において、複数の物件を検討している段階では、確かに買主が「どの物件にするか」と言う決定権を持っています。しかし、選定した物件を「いくらで売るか」については、当然のことながら売主が決めます。そもそも、売主からすると「提起している価格で買ってもらいたい」が大前提なので、価格交渉自体がイレギュラーという認識となります。
また、中古不動産は自動車や洋服のように大量生産された商材ではなく、あくまで1点モノですから、売値はアートなどと同様に「売主の言い値」が基本です。もちろん、過去の売買データや相場にマッチした価格でないと売れにくいのは事実ですが、金額自体は売主が自由に決定できる権利を持っていることを忘れないようにしましょう。
2. 資金手当を終えておく
どんなビジネスでも、成功の極意は「相手の立場で考えること」です。つまり、不動産価格の交渉を行う際にも「売主の気持ち」を意識することがとても重要です。
多くの場合、まず売主が知りたいのは「そもそも、買主は不動産を購入する資金は出せるのか(借りられるのか)」という点です。だからこそ、買主は「物件がそろそろ絞り込まれそうだな」と感じたタイミングで、住宅ローンの仮審査を終えておくことが必要です。
その際、一つ注意点があります。不動産会社によっては、ネット銀行の仮審査は「資金調達のエビデンス(裏付け)として対象外」とされる場合があります。理由は「ネット銀行の多くは自己申告に基づいて信用情報を確認しているので、本審査で否決される可能性が高いから」と言われています。実際の借入をどうするのか…ではなく、あくまでエビデンスとして手配するのであれば、都銀や地銀などの方が安心かもしれません。
3. 買付書ベースで交渉する
気になる物件が出てきたら、つい「この物件は安くなるかな?」と思うことは、誰しも当たり前のことです。それを、今回は聞かれる側の心理に置き換えてみましょう。
例えば「とても気に入って、現地を3回内覧した人」から、署名及び押印した買付書ベース(購入意思を示した上)で50万円の値下げを依頼された場合と、未だ内覧してないお客さんから不動産会社の担当者を通じて(つまり、買主の個人名なども判別しない状況で)「価格は下がりますか?」と質問を受けた場合を想像してください。あなたが売主なら、気持ちに差が生まれるのではないでしょうか。
購入意思を固めることは、買主にとって負荷のかかる決断ですよね。実は、価格交渉(金額を下げる判断)においては、売主も同等の負荷を感じている訳です。だからこそ、相手と信頼関係の構築がポイントとなります。価格交渉は「いよいよ」のタイミングで、買付書ベースで実施しましょう。
4. 中古と新築建売で値引額は異なる
新築の建売住宅を購入した方のブログを見ると「300万円引きで購入できた!」というような書き込みをまれに見かけます。ですが、こういった100万円を超えるような値引きは、中古不動産の売買ではほとんどありません。100万円を超えるような値引きは、売主自体に「売りたい」という強い意思がある時に実現する「レアな数値」と考えていいでしょう。一方、建売メーカーが販売する(売れ残った)新築戸建であれば、決算前の「大幅値引き」はあり得ます。
中古物件の仲介では、1,980万円の物件が80万円下がって1,900万円になれば「かなり下がったね!」という感覚です。それ以外だと50万円引きの1,930万円、30万円引きの1,950万円、お値引きなしの1,980万円(満額)という4パターンが多いようです。ちなみに、実際には定価で購入されている方がもっとも多いと思われます。
※ 買取再販の事業者が、中を見ずに現金で購入するような場合、確かに1割前後の値引きで買うことはありますが、これはあくまで「プロ同士のレアな取引」と考えるべきでしょう。
不動産業界は基本的にデータを元にビジネスをしているので、不動産価格というデータの精度が上がっている現状では、以前よりも「相場観通り=それほど値引きはない物件」が増えている気がします。マイホーム探しにおいては、そもそも「価格交渉できなくても購入したい」という物件を探すのが基本姿勢だと思います。
5. 売主が納得する理由を考える
結局のところ、価格交渉はあくまで「交渉」です。買主が価格を下げて欲しいと考えている理由について売主が共感してくれることが大切です。
例えば「ローンの借入上限に余裕がない」とか、「宅内の状況が悪かったので、修繕費がかかりそうだから少し下げて欲しい」というような理由でも構いません。お互いに大事な「お金」と「不動産」を等価交換する訳ですから、誠意を持った交渉がなにより大切です。
逆説的になりますが、まずは買主が「この家を気に入った!」と言う意思を明確に表明し、その上で論理と感情のバランスを取りながら、売主と交渉を進めていくことがポイントです。そのために大事なのは「良い点があれば褒めること」です。なにごとも「自分がこうして欲しい」ではなく「相手がそうしたくなる」という思考で考えると、交渉力は大幅にアップします。
実際のところ、住宅購入時の価格交渉はなかなか一筋縄ではいきません。だからこそ、当社で仲介させていただくお客さまには、上記のような考えに基づいて「結果に結びつく交渉」を心がけています。



























