【ワンストップで考える_42】福岡市内で「普通」のマイホーム
福岡市は九州における経済の中心地として、さらにはアジアへのゲートウェイ都市として、全国屈指の成長を続けています。全国的に見ても、首都圏や沖縄エリアと共に、福岡都市圏の人口は2040年まで増加すると言われています。
実は成長を続ける福岡市には、独自のマイホーム事情があります。最初に答えをお伝えしておくと、地方都市の中でも異例なほど「マンション率が高い」という事実です。
確認の第一歩として、まずは新築物件の着工件数を見てみましょう。国土交通省が発表している「着工新設住宅戸数」によると、2023年1月から12月までに福岡県内で着工した新築戸数は下記の通りです。
福岡県全体での1年間の着工数
・持家(注文住宅など) 8,089戸
・建売 6,226戸
・マンション 4,955戸
これを見ると、県内全域では持家や建売といった戸建が、マンションより多いことが分かります。国交省のデータは県別で発表されていたため、福岡市の実数が判明しません。そこで、福岡県が発表している同様のデータ(ただし、計算期間は2023年4月から2024年3月まで)を参照すると、県全体の着工数に占める福岡市の戸建比率を16%、マンション(共同住宅)比率が55%と判明したので、その数値から下記のように着工数が推測できます。
福岡市内での1年間の着工数(想定値)
・持家(注文住宅など) 1,294戸
・建売 996戸
・マンション 2,725戸
この結果、福岡市における新築供給数は、戸建よりもマンションの方が多いことが判明しました。もちろん、福岡市だけではなく福岡市近郊(春日市や筑紫野市、那珂川市、志免町、糸島市など)を含めると、もう少し戸建比率は高くなると思われます。
続いて、レインズに掲載されている中古物件の仲介実績を見てみましょう。こちらは、福岡県全体と福岡市内が掲載されていましたので、2023年の1年間の実数を比較してみました。
福岡県全体の仲介数
・戸建 1,672戸
・マンション 3,341戸
福岡市内の仲介数
・戸建 347戸
・マンション 2,355戸
ご覧のように、福岡市内の中古物件においては、マンションの販売実績が圧倒的となっています。比率で言うと戸建のシェアは13%に留まる一方、マンションのシェアは87%にもなります。福岡市の中古不動産市場においては、マンションの方が圧倒的に高いシェアを得ていることが見えてきました。
※ もちろん、持ち家以外(賃貸住宅や社宅住まい)の方は別途おられます。
※ レインズに反映されていないデータもあるため、販売された実数とは異なります。
これらのデータからも、福岡市における「平均的なマイホーム=マンション」と言う事実がご理解いただけたのではないでしょうか。
九州全域においては、もちろん「マイホーム=戸建」が一般的かもしれません。車2台を止められる駐車場や、バーベキューができる広々としたお庭。こんな生活をイメージされている方も多いと思います。しかし、東京にお住まいの方にとっては、普通のマイホーム=マンションです。
つまり、限られた予算で「戸建」を希望される方にとって、福岡市は物件探しがとても難しい地方都市であることは事実です。だからこそ、価格や立地など「妥協できる点」と「できない点」をきちんと意識しつつ、マンションも選択肢の一つとすることで「無理のないマイホーム」を手に入れる可能性が高まるのではないでしょうか。