リノベーション会社でも新築ハウスメーカーでも、どうしてホームページなどでリアルな価格(建築費やリノベーション費)を明示していないのでしょうか?
もちろん、土地の形状や建物のサイズ、また工事内容や設備の仕様によって金額が変化することは理解出来るのですが、そうであったとしても「実際にリノベした家」や「新築した家」であれば費用は開示できるはず。そういう疑問を感じた方も、多いのではないでしょうか?
私たち「はぴりの!」のホームページには、価格を明示した100件以上の施工例を掲載しています。もちろん、中にはお客さまの希望で価格を非掲載とした事例もありますが、できるだけ開示したいと考えています。
その理由は、何といっても「価格はお客さまにとって最大の関心事」だからです。もちろん、想像を超えたお金持ちの方であれば「良いものであれば、どれだけ費用がかかってもOK」という方もおられるでしょう。ただし、一般的なリノベ会社やハウスメーカーに相談される方であれば「おしゃれで、住みやすくて、安心&安全で、ワクワクする家」を、できるだけ「コスパ良く実現したい」と思われているはず。
そこで、多くの会社でリアルな価格を明示しない理由を、私たちなりに検証してみました。
一つ目は「マジメ過ぎる」からです。以前もご紹介したように、建築費を大別すると施工費と資材及び設備費に分けられます(詳しくは、過去の当社ブログ「リノベ費用のポイント」を参照ください)。限られた写真しか掲載できない施工例のページでは、例えば耐震や断熱などの「目に見えない部分(そこにコストがかかっている部分)」の紹介はどうしても限定されます。また、一般の方からは同じようなキッチンに見えても、メーカーやオプションの選択次第では100万円以上の差が出ることも一般的です。
そうすると、お客さまに対して「工事内容や設備のグレードを正確にお伝えできないのに、価格を掲載するのは良くない」という発想になってしまう訳です。
上記が性善説だとすると、下記は性悪説です。
もう一つの理由は、お気づきの通り「わざと価格を曖昧にすることで、たくさん問い合わせが欲しいから」です。新築にしてもリノベにしても、個人が購入する物品やサービスの中では大変高額です。だからこそ、各社の営業としては「まずは安く(または、不明瞭に)見せておこう」と考えがちです。ある意味、事業者側にとって都合の良い考えですが「とりあえず、問い合わせはたくさん欲しい」という発想ですね。
少し横道にそれますが、最近はこういう営業が少しずつ減っています。昔は、新車購入時には複数ディーラーでの価格交渉が当たり前でしたが、いまはネットでの定価販売も増えています。家電製品でも、海外メーカーやパナソニックなどでは定価販売が増加しています。ある意味「ムダなやり取り」である価格交渉(駆け引き)を、そもそも「しない」というビジネスが増えているのは、時代の趨勢なのかも知れません。
実際のところ、新築ハウスメーカーを中心に「テレビCMなどで見た金額では、到底マイホームは完成しなかった」という声は、ネットを探せばたくさん見つけることができます。建築や不動産業界には「昭和なノリの会社」が多いので、こういった営業スタイルが続いていますが、実はそのこと自体が「業界に対する不信感を増している」のかも知れません。
ただし、逆説的に「価格を明示している会社はすべて誠実なのか」と聞かれると、そうとも言えません。実はそういった会社の中にも、問題ある打ち出し方をしている会社もあります。
特にリフォーム系やローコストリノベ会社の場合、チラシなどに掲載している安価な額だと「見えない部分の工事を省略している」場合や、賃貸で使用する「ローグレードな製品」の価格を掲載して、意図的に「安く見せている」会社も多いようです。また、法令で厳しい対応が求められているアスベスト処理などについても、ずさんな工事を行なっている会社も少なくありません。
建設業では、どうしても「見ただけでは判別できないこと」が多いので、お客さまが不安になってしまうことは当然です。しかし、実際には「考え方」さえ理解しておけば「NGな会社」を見抜く力は必ず身につきます。
だからこそ、当社の「初めてのマイホーム探し&リノベーション相談会」では、メリットだけでなくデメリットもお話しすることを心がけています。単におしゃれなリノベを推奨するのではなく、大切にすべきなのは「安心&安全」や「コストコントロールの仕方」です。
ご興味がある方は、当社事務所やモデルルームなどで開催されている各種イベントにぜひご参加ください。