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【ワンストップで考える_48】戸建のフルリノベが難しくなる?

結論からお伝えすると、2025年4月以降、戸建の大規模なリノベーションの難易度は高まります。決して「出来なくなる」訳ではないのですが、いままでより難しくなることは間違いありません。

その理由は「4号特例の見直し」です。来春から、建物の新築や増改築に関する国土交通省の規定が変更になります。発端は「省エネ基準への適合義務化」ですが、同時に耐震についても強化を図りたいとの意向が含まれています。

さて、そもそも「4号特例」とは何かをご説明しておきましょう。建築基準法に基づき、建築確認の対象となる木造住宅などの小規模建築物(建築基準法第6条第1項第4号に該当する建築物)において、建築士が設計を行う場合には構造関係規定などの審査が省略されてきた制度です。

簡単に言うと「一級設計士や二級建築士が設計した小規模な建物(木造建築物など)は、法令に合致した仕様になっているはずなので、一軒ずつ確認申請と検査はしなくていいよ(適合している前提なので、申請と検査は省略していいよ)」という特例でした。


この特例が見直され、来春からはほとんどの建物(延べ面積200㎡以下の木造平屋を除く)で建築確認申請と審査が必要になる訳です。この改定が新築だけでなく、主要構造部の一つ以上の過半を工事する大規模な改修(つまり、リノベーション)においても適用されることになりました。

ポイントである「主要構造部の過半」が何を示すかは、国土交通省から少しずつ指針が出されているところですが、詳細はいまだ不明です。それでも再建築不可物件など、過去のリノベで実施されていた「柱だけを残して(骨組みだけにして)、すべて作り変えるような大規模リノベーション」は、間違いなく新ルールに合致することになるでしょう。つまり、来春以降は確認申請と検査が必要になる訳です。

※ 再建築不可物件だけでなく、既存不適格物件や完了検査後に増改築されている物件、さらには新築時の書類が保管されていない物件についても、そもそも「工事を実施できるか」の判断が必要となりそうです。また、建物自体ではなく、その建物が立っている土地の地盤や擁壁についても、新基準に準拠している確認と、場合によっては是正が必要となる可能性があります。


また、来春以降の工事では、もちろん現行の耐震基準だけでなく、新しくなった省エネ基準への適合も求められます。つまり「コストを抑えたいので断熱材は設置せず、窓はシングルガラスでいいよ」と言うような申請であれば、行政機関の審査時点で「却下=工事不可」となる可能性がある訳です。

ですので、いままでよりも当然工事費が高くなりますし、そもそも確認申請をするための書面や添付図面の作成も必要なため、当然これらの費用も上乗せされることになります。もちろん、工事に必要な期間も長くなるでしょう。

また、古い建物の場合、新築時の図面や確認申請、確認済証が残っていない場合も一般的です。例えば、新築後にカーポートなどを設置(増設)した際、確認申請を実施していない方や業者もいると思われます。そうすると、新たに追加でリノベーションするために「前提となる図面や書類が残っていない(現状に合った図面と公的書類がない)」という状態が生じる訳で、事態はより複雑化します。

審査機関がドライに判断するのであれば、追加工事をするために「まずは現在の建物状況が『既存不適格』ですので、その内容を正しく申請してください」と言われるはず。その際、自分の持ち家ならともかく、中古物件として購入し、リノベーションを考えていたのであれば、さらに難易度は高まります。

そもそも既存状態を正しく調査し、改めて確認を申請して、検査を受ける費用は誰が負担するのでしょう。売主の立場では「売却しようとしているタイミングで、何ヶ月もの期間と何十万円〜百万円単位の費用がかかる」と言われれば、いっそ「業者に売却して、解体して、土地として販売してもらおう」と考える方が多いのではないでしょうか。

現時点でも制度見直しの詳細は判明していないため、私たち事業者の中でも不安の声が出ています。申請基準が「厳密」になるのか、それとも「緩く」なるのか。年末までには国土交通省から指針が示されると言われていますが、どういった指針であっても「いまより厳しくなる=コストがかかるようになる」ことは間違いないようです。

※ 行政機関としては「新築」を中心に考えていたため、リノベーションなどの制度設計が後回しとなり、現場は混乱している…のが実態のようです。

付け加えるならば、現時点でこういった情報を正しく認識していない事業者、または「気にしなくていいよ」というスタンスの事業者は、大規模な戸建工事には不向きと言わざるを得ません。

戸建の大規模リノベーションを検討中の方であれば、早期にリノベ会社や工務店に今後のスケジュールなどを相談しておいた方がいいと思います。お客さまと一緒に、私たちも今後の方針を注目したいと思います。

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